「煎りたて(焙煎直後) vs 熟成されたコーヒー」のどちらが好み?

焙煎後のコーヒーの味が、時間とともに変化することをご存知でしょうか。
「煎りたてで淹れた方が美味しいの?」
「熟成したコーヒー豆ってどう?」
「ドリップした次の日の方が美味しい」
「冷めても美味しいコーヒーが飲みたい!」
「エイジングしたコーヒー、コクがあった!」
こうした声をお客様からよくお聞きします。

コーヒーの味は、さまざまな要素で成り立っています。
「香り」
「コク」
「苦み」
「甘味」
「酸味」

それぞれの要素の微妙な配分が、コーヒーの個性といえます。
そして、それは時間とともに変化していきます。
もちろん好みは人それぞれです。

とはいえ、
「酸っぱすぎる…」
「雑味がヒドイ…」
「冷めたら飲めない…」
「えぐみが耐えられない…」
こんなコーヒーは避けたいものです。

このブログでは、「煎りたて(焙煎直後) vs 熟成されたコーヒー」に絞って、
美味しいコーヒーを探求します。

美味しいコーヒーのヒントが見つかりますように!

1.焙煎直後?熟成?どっちが美味しい?

コーヒーの深き味わいを探求

コーヒーは、淹れ方一つで、全く異なる味わいを楽しめる奥深い飲み物です。
皆さんは、コーヒーをどのように楽しんでいますか?

一般的に「煎りたてのコーヒーが美味しい」と思われがちですが、実は、熟成させたコーヒーもまた、独特の風味を楽しめることをご存知でしょうか?

(1)焙煎直後のコーヒーの魅力

①焙煎直後のコーヒーは、炭酸ガスが豊富で、香りが強く、フレッシュな味わいが特徴です。
②ガスが豊富。焙煎直後の豆には、炭酸ガスが豊富に含まれており、このガスが、コーヒーに爽やかでフルーティーな香りを与え、独特の風味を生み出します。
香りが豊か!焙煎の熱によって、豆の中の芳香成分が最大限に引き出され、香りが非常に豊かです。
④風味の鮮度: 焙煎直後は、コーヒー豆の持つ本来の味が最も鮮やかに感じられます。

(2)熟成コーヒーの魅力

コーヒー豆をエイジング(熟成)させると、香りが変化し、味が円熟します。
本来の香りに変化!焙煎直後の一時的な香ばしい香りは徐々に落ち着き、そのコーヒー豆本来のフルーツのような酸味やナッツのような香りが際立ってきます。
味が円熟。雑味が落ち着き、コーヒー本来の甘みやコクが引き出されます。
④口当たりが変化: 舌触りがまろやかになり、飲みやすくなります。
⑤エイジング期間。以下にエイジング期間の目安をお知らせします。
・浅煎り~中煎り: 焙煎後、約1週間で飲み頃に
中やや深煎り~深煎り: 10日~2週間で飲み頃に
・美味しく飲める期間は、飲み頃から1カ月程度です

ただし、これはあくまで目安です。豆の種類、焙煎度合い、保存環境などによって、熟成のスピードは異なります。

2.エイジングで美味しくなる理由。チャフとの関係

(1)コーヒーのえぐみ・雑味の原因。

①コーヒー豆のえぐみ・雑味の原因の一つに、チャフと呼ばれるコーヒー豆の薄皮があります。焙煎前にチャフをしっかり取り除かないと、焙煎中に焦げ付き、えぐみや雑味が増してしまうのです。

※チャフとは、コーヒーチェリーから豆を取り出す際に残る薄皮のようなものです。

(2)えぐみ・雑味のもと、チャフが残る原因

その大きな原因の一つは、焙煎前に生豆を洗わないからです。仕入れた生豆の表面のチャフには、油分やほこりなどが付着していることがあります。これらの物質が、焙煎中に焦げ付き、えぐみや雑味の原因となる可能性があります。

(3)えぐみ・雑味のもとを下準備で取り除く

エイジングで美味しくなるコーヒーとは、焙煎前に生豆を丁寧に洗い、えぐみ・雑味のもとになるチャフを洗い流してある、丁寧な下準備をして焙煎されたコーヒーです。
丁寧に下準備されたコーヒーは、エイジングすることで、より雑味が少なく、クリアな味わいになります。丁寧に下準備されたコーヒーは、冷めても美味しいコーヒーになります。

3.多くの業者さんがコーヒー生豆を洗わない理由

コーヒー生豆を焙煎前に洗わない理由を調べたところ、主に以下の点が挙げられていました。

(1)風味への影響

重要な成分の流出を避ける。コーヒー豆には、風味を構成する重要な成分(アミノ酸、糖類、クロロゲン酸など)が豊富に含まれています。洗うことで、これらの成分が溶け出し、結果的にコーヒーの風味を損なう可能性がある。
②バランスが崩れる。長時間、お湯洗いをすると各成分のバランスが変化し、コーヒー本来の味わいが損なわれることがある。

(2)乾燥の必要性。

①カビ発生のリスク。洗浄後の乾燥が不十分だと、カビが生えるリスクが高まる。
②品質低下: 水分が残った状態で焙煎すると、豆がムラに熱され、品質が低下する可能性がある。

(3)産地で処理されている

①スクリーニング。多くの生豆は、産地で選別や洗浄が行われている。今更必要ない。
②乾燥。乾燥工程を経て、日本に輸入されている。同じく、洗う必要がない。

(4)チャフの除去

①機械による除去。現代の精製技術では、機械を用いてチャフ(薄皮)を効率的に除去できる。手洗いしてまで除去しなくてよい。
②手作業。一部では、手作業で丁寧にチャフを除去している場合がある。

(5)風味の多様性

品種や産地による違い。コーヒー豆は、品種や産地によって風味や特徴が大きく異なります。洗浄することで、その個性を損なってしまう可能性がある。

以上が、生豆を洗わない業者さんの考えのようです。

生豆を洗わない業者さんの考えをまとめると、次のように言えます。
「コーヒー生豆を洗うことは、一見すると衛生的で良いように思える。しかし、風味を損なう可能性があるため、洗う必要がない。近年、一部の専門店で生豆の洗浄が行われるケースもあるけれど、これはあくまで特別な場合であり、一般的なコーヒー豆焙煎に当てはまるものではありません。」

しかし、私たち山王珈琲焙煎所では、焙煎前に生豆を洗浄してチャフをできるだけ洗い流します。私たちが生豆を洗う理由は、それで焙煎されたコーヒーが一番美味しかったからです。
私たちは生豆を洗う焙煎職人さんから、その技術を引き継ぎました。

焙煎職人として洗わないのは自由。
洗ってから提供するのも自由です。

私たちは、自分で実際に試してみて美味しいと感じる、生豆を洗った焙煎豆をお客様に提供しています。

4.まとめ

煎りたてのコーヒーは、そのフレッシュな香りが魅力です。
一方、熟成されたコーヒーは、複雑で奥深い味わいが楽しめます。
どちらが好みかは、人それぞれです。

大切なのは、様々なコーヒーを飲み比べて、自分好みの味を見つけること。

ぜひ、色々なコーヒーを試して、あなただけのコーヒーの世界を広げてみてください。